AcadeMina
東京大学 工学系研究科 電気系工学専攻の院試・合格体験記|対策とスケジュール

東京大学 工学系研究科 電気系工学専攻の院試・合格体験記|対策とスケジュール

合格体験記
2026.04.03AcadeMina編集部

大学院入試(院試)は、情報戦です。どの科目が出るのか、どんな形式なのか、いつまでに何を終わらせるべきか——これらを早い段階で把握し、逆算してスケジュールを組んだ人が圧倒的に有利になります。

私は学部3年の1月から院試対策を開始し、東京大学 工学系研究科 電気系工学専攻(EEIS)に合格しました。この記事では、私が実際にたどったスケジュールと使った参考書、そして試験の概要をまとめています。

なお、入試制度は年度によって変更される可能性があります。必ず最新の募集要項・専攻入試案内を公式サイトで確認してください。

【筆者プロフィール】
  • 院試勉強開始時期:学部3年 1月
  • 合格先:東京大学 工学系研究科 電気系工学専攻(EEIS)

試験概要と参考スケジュール

電気系工学専攻(EEIS)の修士課程入試は、大まかに以下の流れで進みます。

STEP 1

出願(WEB出願・TOEFL スコア提出)

STEP 2

外国語試験(TOEFL iBT スコアで評価)

STEP 3

専門科目 筆記試験(6科目から2問選択・150分)

STEP 4

口述試験(面接)

出願

外部受験生が注意すべきポイント

  • 出願はWEB出願のみ。紙の願書は受け付けていないので注意。
  • TOEFL iBTのスコア提出が必要。提出期限が出願期限と異なる場合があるため、必ず募集要項を確認すること。
  • 電気系工学専攻の「専攻入試案内」と「調査票」は専攻独自の書類。募集要項とは別に確認が必要。
  • 志望する研究室の教員には、事前にコンタクトを取り、研究室見学を行うことを強く推奨。

英語(TOEFL iBT)

東大 工学系研究科では、英語の筆記試験は実施されません。代わりにTOEFL iBTのスコア提出で英語力を評価します。つまり、院試当日までにTOEFLを受験し、十分なスコアを確保しておく必要があります。

📚 使用した参考書

  • TOEFL 3800:TOEFL頻出単語をランク別にまとめた定番の単語帳。まずはRank 3まで固めるのが現実的です。

専門科目

電気系工学専攻の専門科目は、以下の6科目から2問を選択して解答します。解答時間は2問合わせて150分です。

1.電磁気学 2.電気回路 3.情報工学I 4.情報工学II 5.固体物性 6.制御・電気エネルギー工学

範囲広すぎん?と思った方、私もです。でも安心してください。6科目のうち2科目だけ選べばいいので、自分の強みに合わせて戦略的に選びましょう。私は電磁気学固体物性を選択しました。

1. 電磁気学

何を見られる?

  • 電荷・静電界からマクスウェル方程式・電磁波まで、電磁気学の幅広い基礎力
  • ガウスの法則やアンペールの法則を使った場の導出能力
  • 境界条件の理解と適用(誘電体界面、導体表面など)
  • ベクトル解析(grad, div, rot)を使った数学的処理力

勉強のコツ

  • まずはマクスウェル方程式を中心に体系的に理解する。個別の法則を暗記するより、全体像の把握が先。
  • 同軸円筒、平行平板、球などの典型的な対称性を持つ問題のパターンを身につける。
  • 電磁波の反射・透過、ポインティングベクトルの計算は頻出。しっかり手を動かして演習すること。

📊 出題傾向

  • 出題形式:記述式。誘導付きの小問が(1)〜(7)程度続く構成が多い。前半は基礎的な場の導出、後半は応用的な考察や議論を求める問題。
  • 頻出トピック:同軸円筒導体の電界・静電容量、誘電体中のボイドの電界、導体球と影像法、電磁波の反射・透過と境界条件、ポインティングベクトルによるエネルギー評価、荷電粒子の運動。これらは複数年にわたって繰り返し出題されている。
  • 問われる力の傾向:単なる計算力だけでなく、物理的な意味の説明や理由を記述させる問題が含まれる(「〜の理由を2行程度で述べよ」等)。概念理解と論述力の両方が必要。
  • 特徴的なパターン:Part I とPart II に分かれ、Iは静電界系(誘電体・コンデンサ・影像法)、IIは磁界系(直線電流・ベクトルポテンシャル・インダクタンス・電磁力)という構成が目立つ。問題文が英語と日本語の両方で出題される年もある。
  • 対策のアドバイス:影像法(導体球・平面導体)の解法パターン、電磁波の垂直入射における反射係数・透過係数の導出は必ず解けるようにしておくべき。また、「ボイド中の電界」「ポインティングベクトルによるエネルギー収支」は定番テーマなので重点的に演習すると良い。

📚 使用した参考書

  • マクスウェル方程式から始める電磁気学:タイトル通り、マクスウェル方程式を軸にして電磁気学を体系的に学べる一冊。院試レベルの問題に対応するための基礎固めと応用力の養成に使いました。

5. 固体物性

何を見られる?

  • 量子力学の基礎(シュレディンガー方程式、固有エネルギー・固有状態)
  • フェルミ・ディラック統計の理解と適用
  • 半導体のバンド構造、キャリア密度、フェルミ準位の計算
  • pn接合・ショットキー接合の物理(空乏層、内蔵電位、I-V特性)
  • MOS構造の基礎

勉強のコツ

  • まず量子力学の基礎(1次元ポテンシャル井戸・ポテンシャル障壁)を確実にする。ここが解けないと後半の半導体に入れない。
  • 半導体物理は、バンド図を自分で描けるようになることが最優先。「なぜフェルミ準位がここにあるか」を説明できるレベルを目指す。
  • 水素原子モデルからの不純物イオン化エネルギーの近似計算は頻出。公式だけでなく導出の流れを理解しておくこと。

📊 出題傾向

  • 出題形式:記述式。Part Iが量子力学(シュレディンガー方程式、ポテンシャル障壁/井戸)、Part IIが半導体物性(バンド構造、キャリア、接合)という2部構成が定番。
  • 頻出トピック:1次元ポテンシャル井戸(無限・有限)の固有エネルギーと固有関数、ポテンシャル障壁のトンネル効果と透過確率、真性半導体の状態密度・キャリア密度・フェルミ準位の導出、n型半導体の不純物準位と水素原子モデルによるイオン化エネルギー計算、ショットキー接合のバンド図・空乏層・I-V特性、pn接合の内蔵電位・空乏層幅・順逆バイアス特性。
  • 問われる力の傾向:計算だけでなく、「物理的理由を3〜5行で述べよ」という記述問題がかなり多い。例えば「E < V₀でも透過確率が0にならない理由を古典力学と量子力学の違いの観点から説明せよ」のような出題。概念理解が非常に重視されている。
  • 特徴的なパターン:Part Iは基本的なシュレディンガー方程式の解法(境界条件の設定→固有値の決定→波動関数の議論)がテンプレート。Part IIでは、バンド図を描かせたり、温度変化に対するキャリア密度の振る舞いを説明させたりする問題が毎年のように出る。
  • 対策のアドバイス:無限井戸型ポテンシャルの固有エネルギー導出は必ず手で解けるようにしておく。有限井戸型との違い(しみ出し、エネルギー変化)も論述できるように。半導体パートでは、バンド図を何も見ずに描けること、pn接合の順バイアス・逆バイアスで何が起きるかを自分の言葉で説明できることが合否を分ける。

📚 使用した参考書

  • 固体物性入門:例題・演習と詳しい解答で理解する:例題と演習問題が豊富で、解答も丁寧。量子力学の基礎から半導体物性まで、院試に必要な範囲をカバーしています。問題を解きながら理解を深めるスタイルの人に合っている一冊。

合格までのロードマップ

ここからは、私が実際にたどったスケジュールを月別にまとめます。

  • 1

    〜2月:情報収集と教科書選定

    まず院試の全体像を把握するところからスタートしました。電気系工学専攻の試験科目・出題範囲を確認し、自分が学部で履修していない科目のうち院試に出る可能性があるものをピックアップ。それぞれの教科書を選定して入手しました。この段階では「何を勉強するか」を決めることが最優先です。

  • 2

    3月:専門科目の勉強スタート

    教科書ベースで専門科目のインプットを開始しました。電磁気学と固体物性を中心に、教科書を通読しながら基本的な概念を整理していきました。この時期はまだ「全体像をつかむ」フェーズです。

  • 3

    4月:研究室見学 & TOEFL対策開始

    志望研究室への見学を実施。教員と直接話すことで、研究内容の理解が深まるだけでなく、モチベーションにも直結します。並行してTOEFL対策も開始。まずは単語帳(TOEFL 3800)で語彙力の底上げから。

  • 4

    5月:本格的にTOEFL対策 & 専門科目の演習書スタート

    TOEFL対策を本格化させ、過去問を使った実践演習に取り組みました。同時に、専門科目は教科書のインプットから演習書を使ったアウトプットのフェーズへ移行。手を動かして問題を解くことで理解の穴を埋めていきました。

  • 5

    6月:院試の過去問に着手 & 解答作成

    いよいよ過去問を解き始めました。まずは問題を眺めて出題傾向を把握し、その後は自力で解答を作成。公式の解答が公表されていないため、自分で解答を作って正しいかどうかを検証する作業が必要です。ここが外部受験で最も大変なところかもしれません。

  • 6

    7月:過去問の深掘り & 関連文献の調査

    過去問で出てきたトピックについて、関連する文献や教科書を掘り下げて調べました。「なぜこの問題が出たのか」「どういう背景知識が必要か」を考えることで、単なる問題演習を超えた理解が得られます。

  • 7

    8月:過去問を自力で解説できるレベルへ

    最終仕上げとして、過去問を「解く」だけでなく「人に解説できる」レベルまで引き上げました。解法の流れを自分の言葉で説明できるかどうかが、本番で応用問題に対応できるかの分かれ目です。

口述試験

筆記試験の後に口述試験(面接)があります。内容は専攻によって異なりますが、志望動機や研究計画、専門知識の確認などが行われるのが一般的です。教授陣が揃っている部屋に一人で入り、口頭で質問に答える形式です。合格したら本当に入学するかを聞かれることもあるので、やる気を見せることが大切です。服装はスーツが無難ですが、ノーネクタイのクールビズでも問題ありません。

過去問について

工学系研究科の過去問は、研究科のWebサイトで公開されています。また、電気系工学専攻のサイトにはサンプル問題も掲載されています。公式解答は公表されていないため、自分で解答を作成するか、同じ志望の受験仲間と解答を共有し合うのが現実的な対策方法です。

AcadeMinaでは過去問の解答解説や、過去問を分析して作ったオリジナル対策問題も販売しております!

院試対策

© 2026 AcadeMina. All rights reserved.